AARRR!モデル【アーモデル】新たなワークフレームのメリット・デメリットとは

近年、注目を集めている新たなワークフレームAARRR!について、皆さんはご存知でしたでしょうか。

AARRR!とは、アメリカの投資ファンド『500 Startups』のD.マクルーア氏が2007年頃に提唱したデータ分析のフレームワークです。
ビックリマークについては、付けたり付けなかったりします。
日本語では「アー」とも呼ばれたり、「アーモデル」と呼ばれます。

アーモデル

これは顧客の状態を5つに大別し、各状態で取得すべきKPIを明確にしました。
KPIとは『重要業績評価指標』を指し、マネジメント・顧客満足・サービスなど、何をもって進捗とするのかが難しいセクションに対して定量化して計測する場合に用いられます。
KPIについては以前、本サイトでも取り上げたので、もう少し詳しく知りたい際はそちらも合わせてご参考下さい。

AARRR!は、企業が効果測定などで得られたデータに基づいて次のステップへ行く際にカギとなる項目の頭文字を取ったものです。
具体的には、、、

A:Aqcuisition…意味としては『獲得』。つまり、ユーザーの獲得です。
A:Activation…『活性化』、すなわち利用の活性化です。
R:Retentionユーザーの『保有』です。継続性とも取れます。
R:Referral…『紹介』、そのユーザーが更に他のユーザーを呼び込むことです。
R:Revenue『収益』を意味します。

これらそれぞれの頭文字がAARRR!を構成しています。
AARRR!を使用するメリットとしては…

自社のサービスがどの提供段階で上手くいっていないのかを明確にし、データを基にその具体策を立案しやすくなる。
ユーザーの獲得や収益という入り口・出口だけではなく、過程についても着目していける。
形ばかりのデータ収集ではなく、マーケティングがより具現化していく

こうした点が挙げられます。
バケツに水を入れても底に穴が空いていては、水が溜まっていきません。
新規ユーザーの獲得も大切ですが、ユーザーを確保し続けることサービスを繰り返し利用してもらえることも非常に重要です。

このようにAARRR!はユーザーの保有やリピート性も大事な要素としており、この点が従来の集客重視だったマーケティング手法とは少し異なる部分です。

また、Referral『紹介』にも注目している点では、グロースハックにも有効です。
スマホの無料ゲームアプリで、友だちを招待するとアイテムがもらえる仕組みから、どんどんユーザー数が増えていくケースがありますが、グロースハックはまさにそれです。
この手法は近年とても注目されていて、このグロースハックにおいて、AARRR!はとても有効なフレームワークとなります。

AARRR!の各項目を詳しくご紹介すると…

Aqcuisition
広告であったり自社媒体(ホームページなどオウンドメディア)を活用しての集客によるユーザーの獲得になります。
取得すべきKPIとしては、たとえば広告であれば問い合わせ件数であったり、オウンドメディアであればアクセス数などがそれにあたります。

Activation
ユーザーによるサービス利用の活性化ですが、たとえばこれはホームページ内容の充実などにあたります。
そこで色々な内容が調べられたり、問い合わせや資料請求が出来る仕組みがあれば、サービスの利用も活性化されます。
取得すべきKPIとしては、ホームページへの滞在時間など考えられます。

Retention
ユーザーを保有すること、すなわち継続性ですが、たとえばホームページの内容が日々更新されていてユーザーの興味をそそる内容であれば、新規獲得したユーザーを離さず保有し続けられます。
取得すべきKPIとしては、訪問頻度などが挙げられます。

Referral
そのユーザーが更に他のユーザーへ紹介してくれることです。
たとえば習い事などでは、一緒に通おうと他の友だちを誘って入学してくれることはよくあります。
取得すべきKPIとしては、それにいたった経緯が何だったのかの集計です。
端的に紹介割が決め手だった場合もあるでしょうし、サービスや商品が良くて口コミで紹介された場合もあるでしょうし、Twitterで拡散された場合などもあると思います。

Revenue
収益、すなわち売上と捉えていいでしょう。
取得すべきKPIとしては、何がきっかけで契約や購入に至ったかの集計です。
たとえば、Web経由での購入が多かったのか、それとも店頭での営業により契約に繋がったケースが多かったのか等です。

これらがAARRR!の各項目の概要になります。
確かにコンバージョン(Webサイトの成果)を稼ぐには、とてもまとまった視点だと感じられます。

とてもまとまった視点

しかし万能なのかというと、そうではありません。
各種フレームワークそれぞれに長所・短所があるように、AARRR!にも当然それはあります。
AARRR!は前述の通りコンバージョンを稼ぐには適していますが、コンバージョンの増加=収益の増加ではありません。
コンバージョンが増えたから良しとしてしまうのは短絡的です。

大事なのは、各項目における的確なKPIの設定であったり、トライ&エラーでPDCAサイクルを回したり、そうした洞察力や実行力です。
これは他のフレームワークを使用した際にも言えますが、AARRR!を使えばそれで売上が簡単に伸びるのかというと、そうではありません。
道具も重要ですが、大事なのは使い方です。
AARRR!など各種ワークフレームを適宜使い分けて実行する点が一番重要となってきます。

こうしたビジネス・フレームワークについては、たとえそれを現段階では使いこなせなくとも、その概要を知っているだけで仕事への意識も高まります。
また、それを知ったうえで仕事へ取り組むうちに、理論から実践へと移り、実際にそのフレームワークを使いこなせるようになったり、その効果を体感できるようになったりもします。

今回のAARRR!は主にグロースハッカーなどネットに強いものですが、店舗でのサービスにおける重要ポイントとも十分に共通しています。
本記事でもご紹介した各種フレームワークは様々な場面で使用・応用可能ですので、ぜひその概要を押さえたうえで、売上アップの具体的な戦略作りなどに生かしてみて下さい。