著作権、プライバシー権などはわりとメジャーな権利ですが、抵当権についてはみなさんご存知でしたでしょうか。
抵当権はWikipediaによると、

『債務の担保に供した物について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利。質権とは違って引渡しを要しないために所有者が抵当権成立後も引き続き使用・収益をすることができる、というのが概ね通有的な性質であるが、法域によっては引渡しを要する場合を含むこともある。』

と載っています。
なかなか難しく感じますが、わかってしまうと簡単です。

抵当権

A銀行がBに1,000万円を貸すときに、もしBが借金を返済できない場合「万が一のための備え」として、Bが土地を持っていれば、その土地を担保する契約(抵当権設定契約)を結びます。
抵当権が設定されてもBは自分の土地を使えますし、他人に貸すこともできるのでとても便利です。
また、Bが借金を返済すれば抵当権も消滅するので、実用的な権利として利用されることが多いようです。
しかし、もしBが借金を返済しなかった場合、A銀行は土地を競売(裁判所に申立て)して、競売代金から貸金の回収ができます。

つまり抵当権とは、債権を担保する目的であり、債務が弁済されないときはそれを換価し、その代価から優先弁済を受ける権利です。
民法ではA銀行のことを抵当権者、Bのことを抵当権設定者といいます。
簡単に言うと、住宅ローンの返済ができなくなった際に、その土地や建物など不動産を金融機関が売却処分する事が可能な権利のことです。
第三者が担保を提供した場合は、その人のことを物上保証人といいます。
ちなみに競売に競り勝った人のことを競落人や買受人といいます。

不動産売買の場面ではよく「抵当権を抹消してから引き渡します」というケースが多いですが、本当に抵当権を抹消してくれるのかなと心配になる人もいらっしゃると思います。
心配になってしまうのも無理はなく、仮に抵当権が設定されたままだと、不動産を購入したはずなのに知らず知らずに競売へ売り出されてしまった…なんて事も起こってしまうかも知れません。

抵当権は、その不動産を実際に引き渡す事なく設定が可能です。
どういう事かというと、抵当権が設定されていてもその不動産を賃貸したり売買する事自体は法律により認められています。
ですので、不動産について取引する際は抵当権についてしっかりチェックする必要があります。
通常では上記のような事態が起こらないように、売主はきちんと抵当権を抹消したうえで不動産を引き渡すように取り組まれています。

結論から言うと、信頼できる宅地建物取引業者へ不動産売買を仲介してもらえれば、大丈夫です。
宅地建物取引業者は、決済の際に買い主が支払った代金を売主の借入金の残額返済へあて、抵当権抹消と所有権移転を行います。

しかし、決済の際に買い主が支払った代金で必ずしも売主の借入金の残額をまかなえるとは限りません。
そのような場合は、果たしてどうするのでしょうか。

そうした場合では、売主が不足分について自己の資金を投入してクリアするか、もしくは取り急ぎ売買のために他で借りてきて埋め合わせする形になります。
他で借りてきて埋め合わせする際は、その借り入れが実現しないと不動産取引自体も滞ってしまうので、通常であれば不動産売買仲介を行う宅地建物取引業者が抵当権抹消に向けて売主や金融機関へ確認を行います。
ですので、宅地建物取引業者を通した不動産売買であれば、抵当権についての調査や、抵当権が設定されていた際の抹消についても動いてくれるので、安心していただけます。

抵当権が付いたままでも不動産の取引は可能と前述しましたが、抵当権抹消が不確定なままで取引を進める場合は、「抵当権を抹消できなかった場合は契約を無効とする」といったような特約(特記事項)を付け足して、宅地建物取引業者は取引を進めています。
また、債務超過物件などの際は買主側のリスクが増すので、手付金をカットしたり、手付金を扱う場合も宅地建物取引業者がきちんと保全する形で買主側の安全を確保しています。

以上が抵当権付きの不動産を取引する際の代表的なポイントです。
物件を買おうとしたら、不動産屋さんからもらった不動産登記事項証明書(登記簿謄本)に抵当権が記載されていて不安になられた方などいらっしゃるかも知れませんが、不動産売買仲介を行う宅地建物取引業者によって抵当権は通常、抹消されます。
売買契約書にも抵当権抹消についての記載がなされているはずなので、落ち着いて確認しましょう。
また、買主側が住宅ローンを利用する場合は、その金融機関も自社の安全のために抵当権については確認します。

尚、抵当権の他に地上権といったものにも注意が必要で、これは、他人の土地に建物や工作物を建てたり、竹木を植えたりするためにその土地を利用する権利です。
通常、地上権設定契約により取得します。
地代を定めることができますが、無償の契約の場合もあります。
この地上権についてもそのまま残った形だと契約後のトラブルになってしまうので確認が必要が、通常はやはり不動産売買仲介を行う宅地建物取引業者が抹消へ動いてくれます。

きちんとした宅地建物取引業者へ仲介してもらっていれば抵当権への心配は要らないと思いますが、自身でも抵当権の設定有無や抵当権抹消の方法などを確認する意識は持ち合わせておきたいところです。
また、これから不動産業界へ就職したり転職する人は抵当権についての知識は必須ですので、取り急ぎ本記事の内容だけでもおさえていただけるとベターです。