宅地建物取引業者は、その業務を処理するにあたっては、信義を旨とし、誠実に行わなければならなりません。
そこで本記事では、誇大広告・取引態様・広告の開始時期についてまとめました。
まずは、規制の対象となる広告内容に関して。

宅地建物についての…
①【所在
②【規模
③【形質
④【現在及び将来における利用上の制限
⑤【現在及び将来の環境
⑥【現在及び将来の交通の利便
⑦【代金・借賃の対価の額、支払い方法
⑧【代金・交換差金における金銭の貸借のあっせん

これらについては、規制の対象となります。

広告内容に関して

各項目の具体的な内容としては…

①所在
これは、物件の所在地についてです。

②規模
物件の面積、間取り等(2DK、3LDK)がこれにあたります。

③形質
地目、構造、新築・中古の別、ガス・水道・電気等の供給施設の整備状況です。

④現在及び将来における利用上の制限
用途制限、容積率・建ぺい率、借地権の有無等がこれにあたります。

⑤現在及び将来の環境
商店・学校・病院等、公共施設の整備状況、景観等です。

⑥現在及び将来の交通の利便
交通機関(JR等)、主要駅までの所要時間、最寄りの駅や停留所までの距離・所要時間、新設予定駅等がこの項目にあたります。

⑦代金・借賃の対価の額、支払い方法
売買代金の額・賃料の額、権利金・礼金、一括払いかローンが可能か等です。

⑧代金・交換差金における金銭の貸借のあっせん
ローンの金利、返済期間などの条件等です。

上記8つについて禁止される広告のしかたは次の2つです。

・【著しく】事実に【相違する表示】。
・【著しく】実際よりも有利、優良なものと人を【誤認】させる表示。

多少の誇張や相違は普通の広告でもよくある事なので、規制の対象とはなりません。

取引する意思のない物件、取引する事のできない物件等を広告する【オトリ広告】は、誇大広告にあたります。

また、取引の依頼者等が広告により取引物件が実際よりも著しく有利である等の【誤認をしなかった場合】でも、その広告の内容が客観的に実際よりも有利であると人を誤認させるようなものであれば、誇大広告にあたります。

広告方法にも規制があります。
禁止される広告方法としては…

・誇大広告であれば、インターネット・新聞・雑誌・テレビ等による広告を始め、口頭・チラシによる広告方法まで【すべて禁止】となります。

・消極的に意思を表示しない方法により実際よりも著しく有利なものである等の誤認をさせることも禁止されています。
例えば市街化調整区域内の土地の売出広告の場合、市街化調整区域の指定を受けている旨を明記しなければなりません。

その他としては、不当景品類及び不当表示防止法による規制もあったりします。

誇大広告の禁止に違反してしまった際の罰則は、重要な注意点です。
宅建業者が誇大広告の禁止に違反すると、監督処分として【業務停止処分の対象】となり、【罰則として6月以下の懲役もしくは100万円以下の罰金】または両者が【併科】されます。
いずれにしても、非常に重い罪となるので絶対に気をつけたいポイントです。

取引態様の明示義務】についても、押さえておきましょう。
明示方法は書面・口頭のいずれでも良いとされています。

宅建業者は宅地、建物の売買、交換、貸借に関し【広告】をするとき又は【注文】を受けたときは遅滞なく自己が…
①契約の【当事者】となって売買等を成立させるのか(売主等)
②【代理人】として売買等を成立させるのか(代理)
③【媒介】を行って売買等を成立させるのか(媒介・仲介)

こういった取引態様の別、すなわち、宅地建物取引業者の【取引上の立場】を説明しなければなりません。
また、取引の途中で取引態様が【変更】したときも当然に遅滞なく取引態様を明示しなおさなければなりません。

尚、取引態様が「媒介」であるときは、その旨を表示すればよく、専任媒介・一般媒介の表示まで広告する必要はありません。

また、取引態様の明示義務は、宅建業者の報酬請求権との関係もあります。
それについてみると①の場合は宅建業者は自己の物件を損得勘定で取引に供するのであるから報酬という事は問題となりませんが、②③の場合は、宅地建物取引業者は報酬を受けるのが普通になります。

広告の開始時期の制限】、ここについてはとことん覚えましょう。
未完成物件の売買・貸借等においては広告で表示されたものと実際完成されたものとの間に大きな差があることが多いため、広告の開始時期には制限があります。

宅地建物取引業者は、宅地の造成又は建物の建築に関する【工事の完了前】においては、その造成工事や建築工事を着工するのに受けなければならない【開発許可】や【建築確認】等の政令で定める許可等の【処分があった後】でなければ、その工事に係る宅地又は建物の売買その他業務に関する【広告をしてはなりません】。

ちなみに、【政令で定める許可等の処分】とは、都市計画法上の開発許可や建築基準法上の建築確認その他の法令に基づく許可等の処分(宅地造成等規制法・農地法・土地区画整理法・河川法他)等が定められています。

広告開始時期の制限と契約締結時期の制限は、あわせて押さえましょう。
表としては、下記になります。
尚、契約締結時期の制限については、ご参考として後述します。

契約締結時期の制限

注意点としては…
①【賃貸物件の代理、媒介の広告もできません】。
②この制限は、すでに完成している物件については適用がありません。
③将来売り出す予定であることを示す予告広告、公法上の許可がおりる見込みで行う見込み広告、建築確認申請中・開発許可申請中という広告、いずれも規制の対象となります。
④【国土利用計画法の許可・届出や建築協定による認可等はここでいう処分に該当しません】。
⑤物件が未完成でも、政令で定める処分があれば広告は可能です。
⑥広告であっても、この規制と関係しない広告等たとえば年賀の新聞広告や会社名のみの広告はこの制限と関係がありません。

前述した【契約締結等の時期の制限】についても触れておきます。
先に表をご紹介したように、ここも押さえておくと広告開始時期の制限についても押さえやすくなります。

宅地建物取引業者は、宅地の造成又は建物の建築に関する【工事の完了前】においては、その造成工事や建築工事を着工するのに受けなければならない【開発許可】や【建築確認等の政令で定める許可等の処分】があった後でなければ、未完成の宅地又は建物につき、次の①②③の行為をしてはならないとされています。

①【自ら当事者】として【売買・交換】の契約を締結する事
②当事者の【代理人】として売買・交換の契約を締結する事
③売買・交換の【媒介】をする事

注1)制限の対象は【未完成物件】に限られ、完成物件には適用されません。
注2)【国土利用計画法の許可・届出や建築協定による認可等はここでいう処分に該当しません】。
注3)政令で定める処分については「広告の開始時期の制限」と同じです。
注4)【貸借の代理または媒介】は、制限の対象となっていない点に注意しましょう。「広告の開始時期の制限」においては対象となっています。

以上が、誇大広告・取引態様・広告の開始時期についての概要です。
宅建業を営むにあたりとても大切な点ですし、宅建試験にもよく出るポイントです。
これから不動産業界へ就職する方も転職する方も宅建試験を受ける方も、ぜひ本記事をご参考に押さえてみて下さい。