皆さんはアサーションという言葉を聞いた事はありますか?
少し聞き慣れない言葉かも知れませんが、これは社会生活を営むうえで欠かせない対人スキルです。
簡単に言うとアサーションとは、「より良い人間関係を築くための、自分も相手も大切にした自己表現法 」です。
特に、働くにあたっては非常に重要となるものですので、ここでアサーションについての知識を確認してみましょう。

アサーションとは、、、

アサーションとは

アサーションとは、良好な人間関係を構築するために必要なコミュニケーションスキルです。

つづりとしてはassertionで、直訳すると”主張”です。
人は自分の意見を主張する権利を誰もが持っています。

ただ、それをどう表現するかは難しいところです。

得てして仕事の局面では雇用関係なども絡むので、より一層難しくなるでしょう。

アサーションって難しい

日本では自分の意見を積極的に伝えるというよりも自然と相手に分かってもらう形をこれまで取ってきてしまった文化や風潮が根付いてしまっているため、本題へ切り込むのが難しかったり、主張を苦手としている人も外国に比べて多い傾向があります。

アサーションとは、アメリカで自己主張が苦手な人へのカウンセリングやトレーニングの中から生まれました。

こういったトレーニングは医学的な心理療法にとどまらず、世の中の多くの人々へ広く一般的に有効であるというのが分かり、最近では企業が研修として積極的に取り入れているところも増えてきています。

仕事を円滑に進ませるためには、職場での上下関係などを踏まえつつも、一方で、そういった上下関係に左右されず、お互いに物事の本質を直視し、お互いの意見を尊重して歩み寄る事が重要となります。

アサーションを一言で表現すると、「相手も自分も傷つけないで、自分の意見を伝えることのできるコミュニケーション方法」と言えます。

コミュニケーションには3種類ある!

コミュニケーションには3種類ある!

コミュニケーションに関して、理論として体系づけられたものは3種類に分けることができます

・アグレッシブ…自分本位で一方的な形
・ノンアサーティブ…自己主張がなく、相手ばかりを尊重した形
・アサーティブ…お互いを尊重しあった形

この3種類のうちどれが良いかというと、もちろんアサーティブです。

アサーティブなコミュニケーションを取るにはどうしたらいいの?

アサーティブなコミュニケーションを取るにはどうしたらいいの?

では具体例を見てみましょう。

Aさんは今日は客先でトラブルがあり、明日までに業務を仕上げなくてはなりません。その時、上司から頼まれました。
上司「悪いけど、この報告書を明日までに仕上げてくれないか?」
さて、先ほどの3つのコミュニケーションタイプそれぞれの反応はどのようになるでしょうか?

【アグレッシブ(攻撃的)型】
A「明日までって言われても、こっちも仕事があるんです。いつも私にばかり仕事を持って来て、少しは考えて下さいよ!」

これでは上司の怒りを買ってしまったり、今後のお互いの関係が悪くなってしまいますよね。

【ノンアサーティブ(非主張的)型】
Aさんは自分の仕事が手一杯で本当は断りたいところでしたが、上司の命令だから断れないと思いあきらめて「はい、わかりました。」と答えました。
そして、その晩は顧客と上司を恨みつつ、徹夜で自分の業務と上司に頼まれた報告書に取り組みました。

一見頑張り屋のように見えますが、Aさんの心の中では上司に対する反発心が溜まってしまっているかもしれませんね。それが爆発する時、どうなることやら。

【アサーティブ型】
A「実は客先でトラブルがあり、明日までに仕上げなくてはならないのです。報告書にとりかかりたいのはやまやまなのですが、まずクレーム処理を済ませてからでよろしいでしょうか?」

上司「そうだな、まずはクレーム処理を済ませてくれ。」

A「報告書の締め切りはいつまででしょうか?明日、クレーム処理を済ませてから取り掛かることができます。」

上司「そうか。明日中に仕上がれば問題ない。」

Aさん「それでは明日の17時までに、報告書を仕上げます。」

上司「よろしく頼む。」

このようなアサーティブなコミュニケーションを取れば、お互いを尊重しベストな形で落ち着けることができました。

アサーションのポイント!相手を傷つけずに自己主張するDESC話法

アサーションのポイント

では、アサーティブになるためには、どうしたら良いのでしょうか。

手法としては、相手を傷つけずに自己主張することのできるDESC話法に基づくと自然とアサーションによるコミュニケーションができるようになります。

DESC話法とは、相手に伝えたいことを「客観的な状況」「主観的な気持ち」「提案」「代案」の4つに整理するやり方です。アサーティブに気持ちや意見を伝えるときに役立ちます。

・状況を客観的に描写する(D:describe)
・自分の気持ちを説明する(E:explain)
・提案をする(S:specify)
・代案を述べる・選択する(C:choose)

という順でコミュニケーションを取ります。

先ほどのAさんと上司のやりとりをDESC話法で分析してみましょう。

状況を客観的に描写する(D:describe)
→「実は客先でトラブルがあり、明日までに仕上げなくてはならないのです。」

自分の気持ちを説明する(E:explain)
→「報告書に取り掛かりたいのはやまやまなのですが、まずクレーム処理を済ませてからでよろしいでしょうか?」

提案をする(S:specify)
→「報告書の締め切りはいつまででしょうか?明日、クレーム処理を済ませてから取り掛かることができます。」

代案を述べる・選択する(C:choose)
→「それでは明日の17時までに、報告書を仕上げます。」

このようにDESC話法でアサーティブなコミュニケーションを取ることができます。

ポイントとしては、感情的にならない事、相手を尊重する事です。
感情的になってしまっては、ただのケンカになってしまいます。
どういう内容が原因で、どういった事態の結果になってしまっていて困っているのかなどを、相手を尊重した形で意思疎通を図るのがベストです。
また、その際には押しつけではなく、前向きな展開が臨めるよう提案したり歩み寄ってみましょう。

アサーションを心がけよう!

アサーションを心がけよう

では、ここでさらに例を挙げてみましょう。

例えば、新入社員のAさんと上司のBさんがいたとします。
Aさんは仕事を行ううえで、ある困難に直面しています。
それが原因で仕事が進まなくなっているシチュエーションです。

そこでBさんがAさんに声をかけた際、「問題ありません。」と一方的に主張してしまってはそこで終わりですし、困難だと感じている理由を隠してしまっても、そこから進展しません。
また、Bさんも「なんでやらないんだ!」と言ったところで、Aさんはやる気を持ってその業務には取り組めません。

まずはお互いにお互いを知る事が必要です。
Aさんは一生懸命取り組んでみたが難しい状況である旨を相談し、Bさんはそれを理解し、別の方法などを提案したり、Aさんから受けた提案を享受したり、前向きな未来へ繋がる方向へ着地点をお互いに見出せていけるのがベストな形です。

それがアサーションの極意です。
様々な状況を踏まえたうえでの、お互いの主張のバランスがアサーションの鍵となっています。

アサーション

理論としてはこのようなものですが、いざ実際の場では、最初は難しく感じるかも知れません。
ですが、最初の一歩を踏み出さない限り、前進はありません。

言葉や言い方を選ぶのも重要ですが、最終的には内容のバランスです。
思想や主義に多少の違いはあれど、歩み寄って一緒に仕事をしていけるのが社会人としてのあるべき姿です。

いま現在、上司である人も部下である人も、この双方が歩み寄った形で成り立つアサーションという意思疎通の構造を意識して仕事に取り組んでみましょう。