知っておきたいビジネス用語【コア・コンピタンスとは】

皆さんは、コア・コンピタンスという言葉について聞いた事がありますか?
コアは英語でCore、核です。
コンピタンスはCompetense、これは能力や適性を意味します。
つまり、コア・コンピタンスは直訳すると「核となる能力」です。

コア・コンピタンス

コア・コンピタンスは、ロンドン大学大学院のゲイリー・ハメル教授とミシガン大学のC・K・プラハラード教授によって、アメリカの経営学誌『ハーバード・ビジネス・レビュー』上で1990年に発表された概念です。
コア・コンピタンスとは、競合他社の追随を許さない唯一無二の能力であり、顧客へオリジナルのメリットを提供するスキルであると説明されています。
競合他社との競争で優位に立てる中核事業がそれにあたります。

記事では自動車産業におけるコア・コンピタンスが具体例として紹介されていて、日本の自動車メーカーHONDAのエンジン技術も取り上げられました。
コア・コンピタンスの例としては他に、SONYの小型化技術、SHARPの薄型液晶技術がよく挙げられます。
また、エアマックスで当時一世を風靡したシューズメーカーNIKEも、コア・コンピタンスを持ち合わせた企業の代表例として挙げられる事もあります。

何をコア・コンピタンスとするかは企業によって様々で、技術力をコア・コンピタンスとしている企業もあれば、ネットワーク力やブランド力をコア・コンピタンスとしている企業もあります。
また、企業がそういした独自の強みに特化して事業展開する事は、コア・コンピタンス経営戦略と呼ばれています。

ゲイリー・ハメル教授とC・K・プラハラード教授によると、コア・コンピタンスは、

・顧客に何らかのメリットを提供している点
・競合他社へ真似されづらいオリジナリティ
・様々な商品や市場へ応用・展開が可能な点

この3つを満たす自社能力であると定義されています。

確かに、オリジナリティがあったとしても、それが顧客に対してメリットを提供するものでなければ意味がありません。
また、HONDAのエンジン技術が除草機からF1のエンジンまで幅広く展開された事で企業として確固たる地位を築けたように、応用性も重要です。

経営戦略においては、戦うフィールド(市場)や資金調達・配分なども非常に重要な要素ですが、このコア・コンピタンスも最も重要な経営戦略の1つとして考えられています。
更に、コア・コンピタンスは、

・模倣可能性
・移動可能性
・代替可能性
・耐久性
・希少性

この5つが必要があるとの研究がなされ、MBAのビジネス理論書や授業でもレクチャーされています。
どの要素が特に有効かはそのときの市場環境などにもよりますが、なるべくこの5ポイントについて優れている方がベストです。
もちろん、模範可能性については低い方が良く、それ以外は高い方が良い形になります。

模倣可能性、移動可能性、代替可能性は前述した3つの自社能力を表します。
そこに希少性や耐久性が加わると、コア・コンピタンスはより揺るぎないものになり得ます。

確かにブランド力の強い商品であっても、壊れやすくてはその信頼が揺らいでしまいます。
また、1990年代当時のエアマックスのように、希少性があれば更にコア・コンピタンスは強まります。
耐久性た希少性を兼ね備えてこそ、競合他社との長期的な競争にも優位に立てるものです。

不動産業界では、株式会社リブ・マックス様が不動産仲介事業をコア・コンピタンスと位置づけてホームページ内でご紹介されています。
拝見したところ、独自のネットワークと付加価値創造がコア・コンピタンスでのオリジナリティや希少性にあたり、社宅探しにもご対応している点やフランチャイズ事業などが移動可能性や代替可能性にあたると考察されます。
また、マンションオーナー様の安定経営をサポートされている点は耐久性とも捉えられます。

このコア・コンピタンスを意識した経営戦略はメーカーでの成功事例が比較的多いですが、不動産業界への転職の際にも応用は可能です。
例えば、不動産賃貸仲介営業業務の経験があった場合、かなりの割合の不動産業者での営業業務にそのスキルを発揮していただける点で、応用性や代替性があります。
また、はじめは賃貸仲介営業から入り、そのあと売買へといった形でスキルアップする
パターンも業界的には多いので、展開力もあります。
不動産賃貸仲介営業職として従事した経験は、耐久性に置き換えられます。

そこに何か前職でのオリジナリティある経験や実績を持ち合わす事が出来れば、立派に”コア・コンピタンス転職戦略”として勝負できます。
就職や転職は自分自身を企業へ売り込む点で、メーカーと共通しています。
ですので、今回ご紹介したコア・コンピタンスの概念は、就職活動や転職活動にも充分応用可能な概念です。

コア・コンピタンス経営戦略を進めるにあたって大事なのは、自社のストロングポイントを見定めるマーケティングです。
これは就職活動・転職活動で言うなれば、自己分析にあたります。
ぜひ、まずはご自身の強みを掘り下げてみて下さい。

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