不動産における紛争やトラブルの相談で最も多い原因とは!?

不動産流通推進センターが発表した『不動産業統計集』での『主要原因別紛争相談件数(全体件数)』によると、
平成25年度の第一位は『重要事項説明等(重要事項の不告知を含む)』が件数432件・構成比32.8%でトップ
次いで『契約の解除(ローン不成立の解除を含む)』が件数212件・構成比14.7%
瑕疵問題(瑕疵補修を含む)』が件数125件・構成比8.7%
報酬(高額報酬の請求を含む)』が件数87件・構成比6.0%
契約内容に係る書面の交付』が件数61件・構成比4.2%となっており、重要事項の説明・契約関連だけでその半数を占めます。

特に上位4項目に関しては不動のトップ4であり、常に上位へランクインしています。

不動のトップ4

こうしたことが起こる原因としては、仲介業者と顧客との間にある認識にズレがあること、つまりギャップが1つ大きなものとしてあります。
不動産業者も悪意を持って何か欠陥等を隠しているわけではなく、「ささいなことだから伝えなくてもいいだろう」と思っていた点が買主にとっては大きな問題で、それがのちのち揉め事となってしまうケースが多く見受けられます。

宅建業法第47条によると『宅地若しくは建物の売買、交換若しくは賃借の契約の締結について勧誘をするに際し、又はその契約の申込みの撤回若しくは解除若しくは宅地建物取引業に関する取引により生じた債権の行使を妨げるため、次のいずれかに該当する事項について、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為をしてはならない』とあります。

具体的には…
重要事項の説明事項
供託所等に関する説明事項
契約書面の記載事項(当事者の氏名・名称、住所を除く)
・その他、宅地若しくは建物の所在、規模、形質、現在若しくは将来の利用の制限、環境、交通等の利便、代金、借賃等の対価の額若しくは支払方法その他の取引条件又は当該宅地建物取引業者若しくは取引の関係者の資力若しくは信用に関する事項であって、宅地建物取引業者の相手方等の判断に重要な影響を及ぼすこととなるもの

こうした行為は禁止されています
不実とは、誠意や情愛に欠けていることを意味します。
つまり、欠陥等について不親切で教えないというようなことはやめましょうといった内容です。

重説

ポイントとしては…
◎重要な事実を告知しなかった結果、実害が生じなかったとしても違反となります。
◎「故意」すなわち「わざと」したことを要件としているので、業者の過失等によって重要な事実を告げなかった場合は、規制の対象となりません。ただし、業者として当然の注意を怠ってそれを知り得なかった場合には、著しく不当な行為として監督処分の対象となることがあります。
◎建物の売買等に課される消費税を故意に告げなかった場合は、規制の対象となります。
◎宅建業者が賃借の媒介をするにあたり当該建物の近隣にゴミの集積場所を設置する計画があるのに、その計画について故意に借主に告げなかった場合は、規制の対象となります。
◎故意に重要事項説明義務(35条)に違反すると直ちに本条違反となり、罰則の適用を受けます。

宅建業法第79条2号によると、重要な事実の告知義務に違反した者には2年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金または両者の併科が課せられます。

しかし最も怖いのは民事の方で、裁判によって契約解除や、相応の高額な賠償金が請求されてしまいます。

過去の判例では、建物が傾いていることについて過失ながら買主へ不告知があったとして、売主および仲介業者に対して買主からの損害賠償請求を大阪地裁が認めたケースがあります。
また、投資用の収益不動産の買主が売買契約取消し等を求めた裁判では、仲介を行った不動産企業の重要事項不告知により、売買契約の取消しが認められた判例もあります。

こうした判例から、宅建業者が絶対に説明しなくてはならないポイントとしては…
・売主から聞いていた瑕疵
・少し調査すれば簡単に分かったこと
・弁護士でなくとも宅建士や宅建業者であれば分かったこと
専門家ではなくとも分かる瑕疵

こうした点が挙げられます。
売主から聞いていた瑕疵(欠陥)については、その物件で自殺があったことなど心理的瑕疵も含みます。

少し調査すれば分かったこととしては、宅建業法第47条1号のポイントとして先程も前述しましたが、近隣にゴミの集積場所を設置する計画があるのに、その計画について故意に借主に告げなかった場合などです。

弁護士でなくとも宅建士や宅建業者であれば分かったことに関しては、簡単な権利解釈等がこれにあたります。

専門家ではなくとも分かる瑕疵については、家が少し傾いていることなどです。
これはフローリングの床に玉を置けば、建築関係の専門家ではなくとも調べられます。
玉が転がるということは、傾いているということです。

取引内容によっても変わります

重要事項の説明は、取引内容によっても変わります
そして、どの点が重要かはその人によって捉え方が異なります
たとえば、居住用で不動産の購入を考えている場合は、周辺環境も重視します。
物資のストックとして不動産の購入を考えている場合は、そんなに周辺環境については気にしないかも知れません。
つまり、重要事項の説明というのは相対的なものなのです。

ですので、重要事項の説明に際しては事前にその相手へ入念なヒアリングを行っておくことがポイントとなってきます。
相手が重視している項目について調査を行い、それを重説にフィードバックしていきましょう。

フィードバックにあたってのポイントは、顧客目線です。
たとえば買主にとっての判断材料で、それがどういう具体的な調査に基づいて、どういう結果が出たのかなどです。
プレゼンと同じですが、実際に具体的な数字があった方が相手側としては分かりやすいでしょう。

不明なことは不明でOKです。
それを重要事項説明書(通称、35条書面)に記載すればいいのです。
調べても分からないことは、どうしても出てきます。
大切なのは、業者と顧客との間に認識による違い・ギャップが生じてしまわないことです。

気をつけておきたい点としては、資料の新しさです。
特に登記簿謄本など権利の変動があるものは、取引前日のものなどなるべく新しいものを使用しましょう。
公図や間取り図、土地政策に関わる行政資料などはそんなに変わるものではないので、直近で半年ぐらいまでのものであれば大丈夫です。

以上が重要事項の説明と契約関連での注意点です。
不動産取引の仲介においては非常に重要かつデリケートなセクションですので、先に掲載した重要事項の説明や契約関連の記事と合わせて、ぜひご参考にしてみて下さい。