QCDというフレーズについて、皆さんは聞いた事があるでしょうか。
なかなか聞き慣れない言葉かも知れませんが、製造業では生産管理にあたってかなり代表的なフレームワークの1つです。
QCDのQはQuality=品質、CはCost=コスト、DはDelivery=納期を表します。
品質、コスト、納期、この3点はそれぞれ相関関係のある大切な要素です。
例えば、仮に品質が良くてもコストがかかり過ぎたり納期が遅すぎては現実的ではありません。
また、逆にコストや納期の面で良くても品質が悪ければクレームだらけになってしまいます。
品質・コスト・納期3つのポイントをバランスよく成り立たせるのが重要であり、現代では製造業のみならず、様々な業務やプロジェクトにもこの考えは使われています。
しかしながら、3つを3つとも全て完璧に成り立たせるのは、不可能に近い形になります。
ですので、実際のところはその業務やプロジェクトに応じて、この3点のバランスを適宜柔軟に配分しながら取り組んでいます。
例えば、おせち料理に関しては季節ものなので、まず納期ありきです。
いくら良い料理を用意したとしても、時期を過ぎてしまえば需要がなくなってしまいます。
ですので、まずは納期が絶対条件であり、最優先です。
次いで、品質です。
これもないがしろには出来ません。
お正月という事で、おせち料理は普段の食事より豪勢なものがスタンダードになっています。
価格に関しては、当然、安いに越した事はありませんが、1/1元旦に確実に手元へ届く形でしっかりした料理であるならば、価格に関しては多少高くても許容されます。
クリスマスケーキについても同様の事が言えるかも知れません。
デパート等で販売するクリスマスケーキは、そのほとんどが早めに予約で完売してしまいます。
ですので、往々にして例年、通常のケーキよりは割高になっていますが、それでも品質がしっかりとしていてクリスマスに確実に手元へ届くものであるならば、デパート等でも実際かなり売れています。
自動車に関しては、まず品質が重視されています。
欠陥があればリコールの対象となります。
また、欠陥が元で死亡事故が起きてしまったとなれば、その自動車メーカーは社会的信用を失いますし、多額の賠償問題を抱える事となります。
ですので、まずは安全性ありきで品質が重視され、次いで価格、最後に納期となります。
このように、そのプロジェクトに応じてどのポイントを重視するかは変わってきますが、一般的にはまず重視されるのは品質です。
次いで、価格。
そして最後に納期です。
特に最近は、単に安ければいいというよりも、高品質であればそれ相応の価格でも購入したいという人は世の中的に増えてきています。
富裕層向けのサービスが流行っているのも、そのためです。
不動産業界でも富裕層向けの不動産売買仲介・賃貸仲介は非常に好調です。
このQCDの考え方は、個人としての普段の仕事にも言えます。
納期だけ守ろうとしても、適当に取り組んだものであれば意味がありません。
また、品質が良かったとしても時間がかかり過ぎてしまっては人件費ばかりかかってしまい、利益が出なくなってしまいます。
製造業の生産管理といったマクロな視点だけでなく、個人としてのミクロな視点でもこのQCDは役立ちます。
また、利潤追求以前にこの3点は意識しておきたいところです。
どんな業務でも常に品質・コスト・納期をバランスよく成り立たせるのは必要です。
飲食業で料理を提供する際、お客様へなるべく早く届けたいですが、盛りつけがぐちゃぐちゃになってしまっては元も子もありません。
教育業で勉強を教える際、理科に関してはなるべく実際の植物を見る事が出来たりする方がベストですが、なかなかそれはコスト的にも時間的にも叶わなかたったりするので、写真や映像を活用して効果的に学んでもらいます。
このQCDを意識すると、自然と社会人としての生産性も高まります。
特殊な例としては、あえて納期を遅くする事で限定的にして、ブランディングを図っているケースもあります。
図らずしてそうなっているハンドメイドの業者もいますが、流通量を抑えた形で戦略的に行っているブランドなどもあるようです。
そういった特殊な例もありますが、基本的には一定の品質を保ったうえで、きちんと期限内に終わらす意識はどの業種でも必要です。
不動産業界へ就職・転職した暁にも、必ずこのQCDの要素は大切になってきます。
お客様が引っ越しをされたい時期や物件を売却されたい時期というのは、ある程度、決まっています。
管理を承るにしても、なるべく早く入居率をアップしてほしいという要望や、次の入居者に備えてリフォーム・リノベーションを行ってほしいという要求は数多くあります。
宅建を生かした契約業務担当だとしても、手際よく確実にどんどんこなしていく必要があります。
ベンチャーマインドに溢れたスピード重視の企業なのか、何よりまず堅実性を重視した大手企業なのか、その勤め先にもよりますが、QCDのどの点を優先するかの配分に多少の差はあるにせよ、どういった企業に勤めてどういった業務にあたるに際しても、このQuality・Cost・Deliveryに関しての当事者意識は必要不可欠です。
この3点について意識する事で、仕事の効率を考えたり、生産性に対する意識も高まります。
QCDは生産管理のみならず、自分自身のマネジメントにも繋がります。
働くにあたっての基本理念としても、このQCDについてぜひ意識して取り組んでみて下さい。