先日、ヤフー株式会社とソニー不動産株式会社が共同で新しい不動産売買プラットフォーム『おうちダイレクト』の提供開始を発表しました。
これがどういったサービスかというと、不動産業者を仲介する事なく個人間取引で売買を可能にした画期的なものです。
これまで不動産の取引というと、不動産企業の仲介を通すのが、言わば当たり前でした。
そこへ、Yahoo!のデータベースとSONYの技術・不動産ノウハウがコラボレーションし、新しい旋風を巻き起こそうとしています。
おうちダイレクトのキャッチフレーズは、「自分で決めて、自分で売ろう」。
「マンション流通革命、はじまる」とも、うたっています。
具体的には、Yahoo!が保有する1都3県(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)約5万棟のマンション情報のデータベースと、SONYの技術による検索システム、ソニー不動産が持つ不動産ノウハウを集結させたプラットフォームです。
推定価格に関しても独自の「不動産価格推定エンジン」により、システム的に自動算出されます。
Yahoo!不動産への物件情報掲載は無料であったり、売り主側にとってはほぼ自己取引になるので売却仲介手数料も無料になります。
ここがこれまでの不動産売買と一番違う点で、ポイントかも知れません。
おうちダイレクトの便利な機能としては、買主は現時点でその物件が売りに出されてなくとも、『買いたいリクエスト』をおうちダイレクト上に設定可能です。
これはYahoo!オークションのアラート機能にも似ていますね。
尚、この『買いたいリクエスト』については売主側もリクエストの詳細について把握が可能なので、売り出す判断にも役立ち、市場の活性化が期待できます。
また、取引に先駆けて、ウエブサイト上で買主と売主が質問や回答を行う事も可能です。
これもまさにYahoo!オークションの『出品者への質問』といった機能とシステム的に共通しています。
買主側が実際に物件を見学したい場合や売買契約を交わす際にはソニー不動産によるサポートを行います。
こちらは買主側にのみ仲介手数料(成約価格の3%+6万円)が発生し有償になりますが、重要事項の説明や契約手続き等は宅地建物取引士でなくては行えませんし、条件面での調整等々は、やはりプロに任せた方が安心な点もあります。
Yahoo!は『宅オク』というオークション出品代行サービスを行っていますが、こういったオークションでの代行サービスにこれは通ずる部分がありそうですね。
とても魅力的な不動産売買サービスである、おうちダイレクト。
今後はそのエリアを拡大させていくとの事。
将来性は十分ですが、まだ未知数なのも事実です。
懸念としては、おうちダイレクトを利用するにあたっては、規約で他のサービスを利用した売却を禁止している点。
また、おうちダイレクトを利用する場合のソニー不動産との媒介契約は、「一般媒介契約」といって、不動産業者が市場に流通している物件を検索できる「レインズ」というサイトへの掲載も義務とされていない形になります。
さらに、競合する不動産企業や業界団体の中にはおうちダイレクトには情報提供を行わないとする動きも出てきています。
Yahoo!オークションにも通じたシステム的な利便性はありますが、個人間取引による自己責任のリスクも当然あります。
ですので、そういったリスク回避のためにプロの不動産業者へこれまで仲介を任せてきた人達からすると、まだしばらく様子見の状態は続きそうです。
しかしながら、業界へ一石を投じたのは事実です。
どうユーザーに支持されるかはこれからですが、Yahoo!とSONYが組んだ画期的な不動産売買サービスとして、今後も注目したいところです。