KPIという言葉について、皆さんは聞いた事があるでしょうか。
これは日本語では『重要業績評価指標』と言い、組織の目標達成度を測る際に目安とする数値的なデータです。
組織のデータを収集・蓄積・分析・報告することで経営上の意思決定に役立てていく”インテリジェンスビジネス”において、KPIは経営状態を把握するとして使われ、その結果に応じた対応策を施した暁の予測にも使います。
KPIの各アルファベットはそれぞれkey、Performance、Indicatorの頭文字を取った形で、Keyは『重要』、Performanceは『業績』、Indicatorは『評価指標』を意味します。
KPIはマネジメント、顧客満足、サービスなど、何をもって進捗とするのかが難しいセクションに対して定量化して計測する場合に用いられます。
日々継続して測定されることに意義があり、経営戦略のワークフレームとして使用されることも多くあります。
組織の方向性や目標を設定するにあたり、とても重要となります。
ちなみに、KPIをリアルタイムで監視することをBAM(Business Activity Monitoring)と言います。
KPIの実用例としては、たとえばパソコン初心者に対しての有償サービスを提供するホームページやオウンドメディアを稼働させていて、目標を月間100人の新規登録とした際、その取り組みが上手くいっているかどうかを日々把握したい場合などに用います。
何の考えもなしに感覚だけで判断したり、月間の新規登録者数の結果だけを見ていたのでは、漠然としてしまいます。
そこで、『業績』に関して『重要』な『評価指標』を見定めます。
それがKPIです。
上記の例では、新規登録者が利用するであろう検索エンジンからの日々のアクセス数が、すなわちKPIとなります。
具体的には、たとえばGoogleの検索エンジンからではなく、Yahoo!の検索エンジンからのアクセス数を計測します。
GoogleとYahoo!で比較すると、わりとインターネットの利用に慣れている人はGoogleの検索を使用し、慣れていない人はYahoo!のトップページから検索しているという傾向があります。
ですので、この場合、Googleからの検索によるアクセスの属性としては、既にパソコンやインターネットに慣れている人や同業他社からのものであるとも推定できます。
一方、Yahoo!の方はパソコンやインターネットの使用に関してはライトな層である可能性が高いので、この場合、KPIとして設定するには有効となります。
これを日々計測することで、『新規獲得のための取り組み』という少し抽象的な行いの現状を数字として定量化のうえ把握し、今後の打開策について論理的に考えていくことが可能となります。
ポイントとしては、その目標に対して相関関係の高いものを指標として設定する点です。
たとえば先程の例ですと、ホームページやオウンドメディア自体へのアクセス数をKPIとしてしまった場合、トータルのアクセス数自体は伸びているのに新規の登録が今ひとつ伸びないという状況も起こりえます。
ですので、目標達成における前段階で変動のある各数字から、関係性の高そうなものをピックアップしてKPIとして掲げるのがベストです。
KPIが不適切な場合、目標達成が難しくなるだけでなく、その組織自体が弱体化してしまう危険性もあります。
たとえば先程の例で、「新規登録が少ないのは従業員がパソコンに向かう時間が少ないからだ」と短絡的に考えて、パソコへ向かう時間をKPIに設定してしまった経営者がいたとします。
この場合、どうでしょう。
もちろんそれが上手くいく場合もありますが、今回のケースではそれが上手くいくとは類推しがたいです。
恐らく従業員は、ただやみくもにパソコンへ向かう時間が増え、だらだらと取り組んでしまうでしょう。
結果、従業員のモチベーションは低下していき、組織としても弱体化してしまいます。
KPIは目標達成から逆算して、その前段階として伸ばしたい数字を設定するのがベストです。
ちなみに、最終目標の指標『経営目標達成指標』はKGI(Key Goal Indicator)と呼ばれています。
KPIはKGIを達成するにあたっての指標とも言えるでしょう。
ですので、KGIを達成するためのKPI、KPIを達成するための数字の見定めという風に、最終目標から逆算してそれぞれを選定していくのが良いでしょう。
たとえば、KGIはホームページ経由での売上を年内に倍増、KPIは新規登録を月に100人、そのためにはYahoo!からの検索によるアクセスを増やす、といったところです。
また、それを掘り下げていけば何か注目すべき数字や施策にも気づけたりします。
留意点としては、あくまでKGIが最終目標であるということ。
KPIを重視したからといって、それがすなわちKGIに繋がるとは限りません。
そこはBAMを徹底し、業務の進捗を数字として常に監視することで、トライ&エラー的に適宜、KPIを調整していきましょう。
最終目標であるKGIも重要ですが、KGI達成にはKPIがカギとなります。
KPIを設定したら、まずはひとまずPDCAサイクルに準じて、とにかく業務を回しましょう。
PDCAサイクルについては以前、当サイトでもご紹介したので併せてご参照下さい。
KPIやKGIは経営サイドとして視点のみならず、仕事をして成果を上げるのを目指す社員としての立場でも必要になります。
これから就職してお仕事を始める方も、転職して新たにお仕事へ取り組まれる方も、ぜひ本記事をご参考にしていただければ幸いです。