不動産業界で仕入れや営業職へ転職する際、交渉・折衝関連の業務経験が必須とされているケースが多くあります。

交渉という言葉自体は、わりとよく聞く一般的なワードだと思います。
英語ではnegosiate(ネゴシエイト)、交渉人はnegosiater(ネゴシエーター)です。
ネゴシエーターというタイトルの映画については、記憶に新しい方もいらっしゃると思います。

では、折衝とは何でしょう。
こちらは交渉と比べると、少し聞き慣れない言葉かも知れません。
折衝とは『利害関係が一致しない相手と問題を解決するために駆け引きをすること、また、その駆け引き』を意味します。

たとえば、不動産売買においては、売主は高く売りたいというニーズを持ち合わせています。
一方、買主は安く買いたいというニーズを持ち合わせています。
これは相反するニーズですが、その均衡点を探り、擦り合わせを行うのが営業マンの腕の見せどころです。

この交渉や折衝のスキルがなぜそんなに大切なのかというと、それがすなわち売上に直結するからです。

たとえば、何かを売り込みたい場合。
相手に対して…

当社ではこういった商品を扱っているのですが、もう足りてしまってましたでしょうか?」と聞いたとします。
こうした尋ね方だと、相手は「あぁ、足りてます」と返答しがちになってしまいます。

当社のこういった商品は必要ありませんか?
これも、あまり良くありません。
「必要ありませんか?」という消極的な問いかけに対して、相手も「そうですね、間に合ってます」と答えがちです。
これでは相手との関係がそこで途絶えてしまいますし、取引の進展や発展に繋がりません。

発展に繋がりません

そこで、交渉や折衝の折には、イエスセットやイエス・イフ法を使いましょう。
イエスセットは、イエスと答えやすい質問を繰り返して最終的に本題についてもイエスを引き出す話法です。
人はノーよりイエスの方が言いやすいので、「ぜひご利用ください」などのように出来る限り前向きな提案をしましょう。逆に、「~は難しいでしょうか?」などのように否定形の質問でも「イエス」の方が言いやすいく、断られる確率が上がってしまいます。ですので交渉や折衝では否定形の質問はしないようにしましょう。
また、「間に合ってます」と言われてそこで終わってしまわないよう念頭に置くことが肝心です。

イエス・イフ法については、相手へ意見を言う場合はイエス・バット法ですが、交渉や折衝にはイエス・イフ法です。
たとえば、相手のニーズが既に充足してきているのを汲み取ったうえで、「もしよろしければ…」と提案してみます。

ですので、先程の例に戻ると、自社の商品を売り込みたい場合…

当社の商品は御社様にとってお役立ちになるもの、ぜひご協力させていただきたいと思い、この度お電話させていただきました

ぜひ一度、現物の資料をお持ちしてご挨拶させていただきたいと存じますが、いかがでしょうか?

など、とにかく相手と関係を築くこと・何かしら進展に繋がるようアプローチするのがポイントです。

会って名刺交換をしたり資料を見てもらえれば、そこで1つ関係を築けます。
また、とにかく会えば、最初はそんなに期待されていなかったり半信半疑だったとしても、思った以上に好評をいただいて、そこから話が発展するケースも多々あります。
営業職の募集にあたって、とにかくまずアポイントメントを取る事が重要であると位置づけられているのは、このためです。

交渉や折衝のスキルは売上に直結し、そのスキルがあるだけで生業として成り立つほどのものなのです。

交渉や折衝に取り組む事は、決して楽ではありません。
ですが、相手と確認を取るだけであれば、それは誰にでも行える確認作業となってしまいます。
交渉や折衝を進めるからこそ、その職種に携わる者として取り組む意義があります。
最初は大変に感じるかも知れませんが、慣れてくると自分の手腕を発揮できる点で、非常にやりがいも感じられます。

交渉力・折衝力は不動産業界での営業のみならず、様々な職種・業種で効果を発揮します。
また、仕事以外にも普段の日常生活での付き合いなどにおいても協調性のうえで欠かせない要素であり、交渉スキル・折衝スキルを磨いておく事は人間力も高め、結果、スムーズな人間関係にも繋がります。
これから不動産業界へ就職・転職される方も、そうでない方も、ぜひご参考にしてみて下さい。